あまり過去を振り返って後悔していることはないんだけど、一つだけあるとしたら高校時代に将来の職業について何も考えずに大学を選んだことである。
某大学農学部に行ったのは、前提として高校を出たら国立の大学に行かないと親が許さない状況(考えてみれば姉二人は私立だったのだからおかしな話だ)、しかし興味のあることが生物ぐらいしかない。じゃあ農学部か、ぐらいの感じであった。結果としてどうなったかと言えば、卒業研究でリンドウの花弁の画像計測+判別分析を用いた予測モデルの構築という今の機械学習への興味に繋がる貴重な経験はできたのだが、結果としてそれを元に就職するほどの学術的知見はなく、SEとして就職してその後サービス開発屋になって現在に至る。
これまでのキャリアに何も不満はない。SIerで新卒入社→事業会社に中途入社というのは、数年前に流行ったSEのキャリア転換の典型そのもので、自分のキャリアは客観的に見ればうまく行っているのだと思う。幸いにして、現在は転職時にこちらが会社を多少選ぶくらいのことはできるぐらいのスキルも身についた。
悪くない。しかし、自分がここまでスムーズにキャリアを積めた要因は、これまで周囲から言われた評価を統合すれば、結局のところ「よく働く」以外の何者でもなかった。 単に会社員として優秀、というもの以外の何者でもない。実際、エンジニアとしてのスキルは非常に平凡で優れているとは決して思っていない。 エンジニアリングだけで見れば自分より優秀な人はたくさん見てきた。自分には、言ってしまえば、既存のフレームワークの上でビジネスロジックを実現するだけのスキルしかない。言語やフレームワークを乗り換えることはできる。むしろ得意な方だが、ゼロから何かを実装するスキルはない。だから誰かが作った環境の上に乗っかるしかない。ついでに言えば結局webアプリケーション以外の実務経験はないから知識が酷く隔たっていることも自覚している。
今の職場環境を考えれば非常に贅沢なことを言っているのはわかるのだが、今はそれが今後のキャリアにおける最大の不安である。結局のところ自分のような会社員として評価されるような人間はマネージャーになるしかないと薄々感じているが、正直に言えば「会社員として優秀なエンジニア出身のマネージャー」で終わりたくないと感じている。
今はエンジニアとして本当に難しい問題を解決する力が欲しい。最近、仕事でもパフォーマンスが問題になっている箇所について取り組んでいても、効率のいいデータ構造もアルゴリズムも知らない自分にはマシンリソースを増やすことで力技で解決することしかできないケースが増えている。費用対効果を考えたら時間をかけるよりマシンリソースを増やすことで対応する方が良かったりするのでビジネス的には間違ってないかもしれないが、永遠にマシンリソースを増やしていくことが本当に正しい解決策なのか。本当はもっと優れたアルゴリズムを書いて解決できそうな問題もあり、実際社内では将来パフォーマンスが問題になりそうでなんとかして書き直せないかという議論が度々起こるメソッドがある。しかし自分にはそれを解決できない。
上記を踏まえた上で、今年に入ってからもう一度本当に「エンジニアとして」のキャリアを積み直すために動いている。具体的にはこのブログでも何度か書いてるが、具体的にパタヘネ本とその他資料で大学のCS専攻の学部卒業と同レベルの知識を積み直す。だいぶ忘れている高校数学をやり直す。(今は数ⅡB辺りか。この辺の勉強方法についても別途記す)TopCoder,Hackerrankの問題解きつつアルゴリズムについて勉強する。昔とった杵柄、機械学習をゼロから勉強し直す。データサイエンティストになるつもりはないが、今関心がある大量のデータを効率的に処理する処理、及びそこから必要な知識を得てデータを活かすことをスキルとする場合において機械学習は必須であると考えた。また、機械学習と統計の違い、ディープラーニングとNNの関係すらちゃんと理解していないエンジニアが多いということに最近気づいたので、まだこの分野では頭一つ抜けるチャンスがあるのではないかという打算もある。
その先に何があるか。独学では正直限界があるのと、時間が十分に取れないということから、一度サービス開発屋としての仕事から離れて時間を取って勉強したいと考えている。具体的には大学院進学を真面目に考えている。問題は果たして金銭的になんとかなるのか?というのと、卒業後にちゃんと再就職できるかという点。この2点については今後対策を検討していく。幸い、前者については試算した限りでは今のペースの貯金で数年貯金すれば学費を払いつつ引っ越しもしつつ2年間無職でも食いつなぐことができそうな目処が出ているので、どちらかと言えば問題は後者か。
普通30にもなれば結婚して家庭を持って、そんな大きなチャレンジはできなくなる年齢かも知れない(でも最近は晩婚化進んでるしそうでもないか?)。幸い自分には今は仕事しかない。仕事しかないのなら、できるところまで突き詰めて生きていくしかない。